一億総作家時代
最近”自分探し”とか”夢の実現”とかの動機で、自分史や絵本などを出版しようとする人が増えているらしい。起業に関する色々なサイトの中には、やたらと著書を出版することを勧めるものもある。かいつまんで言えば、著書があると自分や自分の始めようとしている仕事を多くの人に知ってもらえるし、講演会の講師などに呼ばれやすくなる。要は”箔がつく”と言うのだ。
私家版歌集のように、完全な自費出版で知人に配るだけなら一向に構わないのだが、”自分の著書が書店に並ぶ”といううたい文句に目がくらみ、少なからぬ金額を出して本を作ってしまった人も多い。
先日、ある書店の担当者を訪ねると先客がいた。その先客は明らかに書店を訪問することに慣れていない様子で、話も長くまどろっこしかった。用件は「自分は本を書いたので、ここの書店にも置いてもらえないか。ついては1冊献本するので読んでいただいて検討してほしい」ということのようだった。担当者の様子から、早く会話を切り上げたがっているし、その本を読む気も置く気もないことは明らかだったが、自分の本の説明で頭がいっぱいの彼にはわからない。
僕はうしろで会話を聞きながら”こういう訪問者の相手もしなければならないなんて担当者も大変だなあ”とつくづく思ってしまった。大型書店の売場担当者は日常業務だけでも大変な忙しさなのだ。それを知っている僕は、担当者と話するとき常に手短に話す努力をしているし、なるべく書店に有益な話をしようと思っている。
お願いですから、本を作ったからと言って予備知識もなく飛び込みセールスみたいに書店を訪ねたりしないでください。
まさか無責任に”著者も積極的に書店営業をしましょう”なんて言っていないでしょうね、○○舎さん○○社さん?
[PR]
by hayakawa_y | 2006-04-05 08:39 | 書店
<< 隣の芝生 あがり >>